和風ハーブとして、薬味やあしらいに大活躍のシソ(紫蘇・大葉)。栄養価も高く、シソ特有の香りの元である精油成分のぺリルアルデヒドには、臭覚神経を刺激して胃液分泌を促し食欲増進させるほか、健胃作用・殺菌作用もあります。また、近年は抗酸化作用が高いアンチエイジング食材として健康効果も期待されています。今回は、そんな、シソの栄養素と効果についてご紹介します。
シソ(大葉)と穂シソの栄養素は?
「大葉」は、青ジソの葉の部分を指します。「シソ」は、シソ科シソ属の総称で「大葉」よりもさす範囲が広くなります。
食材として一般に知られている「大葉」で栄養価を見ると、特にβーカロテン、カルシウム、ビタミンK、ビタミンB群、モリブデンの含有量は野菜類の中でも優れています。また、特有の香り成分の約半分を占めるペリルアルデヒトは臭覚神経を刺激して胃液の分泌を促進し、食欲の増進を促す効果があります。
穂ジソは、カリウムと銅の含有量が多いのが特徴です。シソの種子からは、シソ油が取れます。シソ油には抗酸化作用のあるα-リノレン酸を多く含み、最近では健康食品としても注目されています。
100gの栄養価 | ||
---|---|---|
項目(1日摂取量 :50~64歳女性) | 大葉 | 穂ジソ |
エネルギー (1950Kcl) | 37 kcal | 41 kcal |
食物繊維 (18g以上) | 7.3g | 8.9g |
Ca(650mg) | 230mg | 100mg |
K(2000㎎) | 500mg | 300mg |
Mg(290mg) | 70mg | 71mg |
鉄(月経有11mg、 無6.5㎎) | 1.7mg | 1.2mg |
銅(0.7㎎) | 0.20㎎ | 0.52㎎ |
βーカロテン ビタミンA(700㎍) | 11000 μg 880μg | 2600 μg 220μg |
ビタミンK (150㎍) | 690μg | 190μg |
ビタミンC (100mg) | 26mg | 5.0mg |
ビタミンE (6.0mg) | 3.9mg | 3.8 mg |
葉酸(240㎍) | 110μg | 72μg |
ビタミンB₂(1.2mg) | 0.34㎎ | 0.16㎎ |
ビタミンB₅(5mg) | 1.0㎎ | 0.8mg |
*日本人の食事摂取基準(2020年版) |
シソの栄養効果と効能は?
シソの特徴ある栄養素についての効果と効能についてお知らせします。育て方については、こちらから。
β-カロテン
β-カロテンは緑黄野菜に多い栄養素で、ニンジンの色素成分としても有名です。実は、青ジソには、β-カロテンがニンジン以上(100g中比較)に含まれ、野菜のなかでもトップクラスです。β-カロテンは、体内で必要に応じてビタミンAに変換されます。ウイルスの侵入を防ぎ、免疫力を向上させたり、目の粘膜の健康を保つ働きがあります。βカロチンは油に溶ける脂溶性のビタミンであるため、油で炒めたり揚げ物に使うことで吸収率が高まります。
ビタミンK
ビタミンKは、血液を凝固させ止血する効果があり、止血のビタミンとも呼ばれ、納豆や野菜に豊富に含まれる脂溶性のビタミンです。大葉には納豆以上(100g中の比較)のビタミンKが含まれています。また、骨に存在するオステオカルシンというたんぱく質を活性化し、カルシウムを骨に沈着するのを助け、骨からのカルシウムの流出を防ぐ働きもあるので、骨の健康にも欠かせない栄養素です。そのほか、動脈の石灰化を抑制する効果もいわれています。
ビタミンB群
ビタミンBはいくつかの種類に分類されますが、大葉にはビタミンB群がまんべんなく含まれています。ビタミンB群は水溶性ビタミンで、脂溶性ビタミンと違い、摂りすぎても尿として排出されるため、過剰摂取の心配はありません。シソには、ビタミンB₂と葉酸が特に多く含まれており、口内炎や肌荒れの改善、成長の促進、造血作用、タンパク質の代謝など縁の下の力持ちとしてのはたらきが期待できるビタミンです。「発育のビタミン」ともいわれ、発育促進に重要な役割を果たしています。
各種ミネラルの効果
カルシウム(Ca)
カルシウムは99%が骨と歯に、残りの1%が血液中や筋肉などに存在します。カルシウムは、骨や歯の主要な構成成分になるほか、細胞の分裂・分化、筋肉収縮、神経興奮の抑制、血液凝固作用の促進に関係しています。
神経や筋の収縮を正常に保つため、カルシウムとマグネシウムは血液中に2:1のバランスで存在しています。これが崩れると、筋肉にけいれんが起きたり、心臓の筋肉や血管がうまく収縮せずに高血圧や心臓病の原因となったりします。また、神経の興奮が抑えられなくなり、高血圧、イライラ感、抑うつ感などのストレスが生じます。このことからカルシウムとマグネシウムは”抗ストレスミネラル”と呼ばれています。
銅
銅は、筋肉や肝臓・骨に多く存在し、各種酵素を活性化させたり、酵素の構成成分となります。特に血液を作るときの鉄の利用にかかわるほか、体内の活性酸素を抑える抗酸化構成成分となり、活性酸素による害を減らすのに役立っています。さらに、骨の形成などを助ける働きもします。
カリウム(K)
KはCaを骨に蓄積する効果を高めてくれるとも言われているため、骨粗しょう症の予防効果にも期待できます。また、Na(ナトリウム)と相互に作用しながら浸透圧を維持しているので、体内の塩分を排出する効果があります。カリウムを摂取すると、血圧を下げる効果やむくみの解消が期待できます。
モリブデン
モリブデンは、人体にとって必須の元素です。尿酸の生成、造血作用、体内の銅の排泄などに関わります。腎臓と肝臓に多く存在し、必要な量はごく微量で、通常の食生活で不足することはほとんどありません。不足すると頻脈、頭痛、夜盲症などの症状が起こることがあります。反対に摂りすぎると、高尿酸血症になる恐れもあります。
ペリルアルデヒド
シソの独特の香りは、ぺリルアルデヒドやリモネン、ピネンなどの精油成分によるものです。中でも、シソの実の精油の約50%を占めるのがペリルアルデヒドですが、次の効果があるといわれています。
-
嗅覚を刺激して、胃液の分泌を促進する効果がある
- 抗菌、防腐効果がある
- 腸内環境の改善に作用し、下痢の緩和に効果がある
- 発汗を促しせきやたんを鎮める作用があり、風邪の初期症状の緩和に効果がある
「刺身のつま」として添えられているのは理にかなっていますね。夏バテ予防にも役立ちそうです。ペリルアルデヒドは刻むことで、香りが引き立ち、効果もアップします。シソは、薬味として使われることが多いため、一度の摂取量は多くありません。効果を期待するなら、果物や野菜と一緒にジュースにすると摂取量を増やすことができます。
α‐リノレン酸
α‐リノレン酸は、血液中の中性脂肪を減らし、血液をサラサラにする効果があります。それによって、心筋梗塞や脳梗塞、高血圧を予防する効果が期待できます。また、免疫の過剰反応により起こるアレルギー反応を抑制する作用があるため、花粉症やアレルギー性の鼻炎症状の緩和、アトピー性皮膚炎症状の改善などが期待できます。α-リノレン酸は、体内で作ることができないため、食事で摂取する必要がある必須脂肪酸の1つですから、シソの実を積極的にとることをお勧めします。
《 シソ加工商品紹介 》
まとめ
シソに含まれる栄養素の効果はいかがでしたか? 薬味としての利用が多いので、一度にたくさんの量は摂取できませんが、実に素晴らしい栄養効果ですね。大葉は、1年中、スーパーで見かけますが、旬は6~9月。家庭菜園では、必要な量だけを収穫し、新鮮な状態でそのつど料理に使用していく、育成段階の4種類を味わえる魅力があります。1度植えればこぼれ種で翌年も発芽してきます。丈夫な、和風ハーブですので、挑戦してみてはいかがでしょうか? その他夏のハーブの紹介はこちらから、シソの育て方はこちらをご覧ください。