ここ数年、生家の年末のお墓掃除に行くと必ず採取してくるのが、今回ご紹介するフユイチゴです。フユイチゴは耐寒性や耐暑性があり、土質を選ばずに育つ野イチゴです。自生するのは大きな木の下で日陰になるような場所が多いと聞きます。生家はどちらかというと山深いところですから、道路わきの山裾に自生していました。冬の時期に深い緑色をしたつる性の植物があれば、確認してみてください。もしかすると、フユイチゴかもしれません。フユイチゴは、キラキラしたまるでルビーみたいな可愛い小さ赤い実をつけます。何気なく歩いていると、葉の下に隠れた赤い実に気付かず通り過ぎてしまうかもしれません。 また、実際に見たことがない方もいらっしゃると思うので、今回は冬イチゴについて、どんな植物で、実の味わいとその楽しみ方など、ご紹介していきます。
フユイチゴは、こんな植物!
- 分 類 : バラ科キイチゴ属
- 開花時期 : 9~10月、穂状に花弁が5枚の白い花が集まって咲きます。
- 結実時期 : 11月~1月頃に熟し、果実は1㎝程度の球形(集合果)。
- 自生場所 : 山地の林縁、林地の下層でよく見かけるつる性の常緑小低木。
- 花言葉 : 「未来の予感」「尊重と愛情」「誘惑」
フユイチゴの果実はよく見る木苺の形で、小さな実の集合果となっており、食用となります。多くの木苺類は夏に熟しますが、フユイチゴは冬に熟すことから、別名「カンイチゴ」とも呼ばれます。分布は、関東以西の本州と四国、九州と言われていますが、中国や朝鮮半島にもおよんでいるようです。
フユイチゴの開花は、8~10月で、葉の腋から伸びた花茎に直径1㎝大の白い花が5~10輪ほど、時期をずらしながらまばらに咲き続けます。花には長さ7~9㎜の花弁と1回り大きな額が5枚ずつあり、中央には多数の雌しべと雄しべがつきだします。萼や花柄にはクリーム色をした長い毛があります。葉は互生し、丸く浅く3~5つに裂け、細かな鋸歯があります。葉の表面は緑か、少し褐色がかった緑でつやがあり、葉の裏と茎には細かい毛が生えています。蔓性のように地面にそって伸び、着地している葉枝が出ている茎の所から根を伸ばし、新たな苗を作りながら増えていきます。なので高さは、30㎝くらいのものです。古い茎は木質になり、個体によっては、茎に棘があるのでご注意ください。
味は、酸味が強く、小さな実にはそれぞれに種が入っています。
大人の味わいーフユイチゴジャムー
フユイチゴの採取方法
果実が熟した状態で採取するので、果実だけ摘み取ろうとすると小さな実の集合果なので、ポロポロと実がこぼれ落ちてしまいます。なので、実の多くついた茎を切り取る方法をと果実にはできるだけ触れないようにして、準備した容器、袋に入れ込んでいきます。
完熟で採取するので注意して行ってはいますが、処理の時点で、すでに小さな実は袋のなかにこぼれ落ちている状況でした。
果実の取り外しと水洗い
枝ごと採取した冬イチゴは、レジ袋のLサイズ2袋分で、小さいなボールに7分目位になりました。
完熟した小さな実なので、手で球形の実を摘まむとポロリと取れますが、何分小さな果実なので、取り除く処理に約2時間かかりました。
時間を考えると大変ですが、採取したら、できるだけその日の内に処理をした方が良いでしょう。完熟の上に、果実が小さいので傷みやすい状況にあります。
果実だけ取分けることができたら、水で汚れとゴミを取り除いていきます。実が小さいので、軽く水の中で動かしながら、実が流れ出ないように注意しながら、何度か水を替えていきます。
フユイチゴジャム作り方、甘酸っぱいのが魅力
フユイチゴの洗浄が終了したら、いよいよジャム作りです。
- フユイチゴと砂糖を同じ重さで準備します。砂糖の量は甘みを抑え、半分くらいにしても大丈夫です。お好みで調整してください。
- フユイチゴを鍋に入れ、火にかけます。
- 砂糖を鍋に入れて、煮ていきます。
- 泡が出てくるので、灰汁をとりながら煮ていきます。
- 少し粘りが出てきたら、火を止めます。
- 事前に準備した、消毒済みの瓶に入れます。
*煮詰めていきますが、なかなか水分が飛びません。粘りが出てきたかなと感じたら火を止めます。通常のジャムより水分量が多いジャムになります。
クリスマスシーズンの赤い実に、フユイチゴを!
クリスマス装飾には欠かせない赤い実。クリスマスの赤色には「神の愛」「キリストの血」といった意味があり、赤い実はキリストが流した血を表すとされています。本来使われる赤い実は、西洋ヒイラギになります。ヒイラギは1年を通して葉が緑の常緑樹で「永遠の生命」を表し、クリスマスに使われる緑色は、「永遠の命」「神の永遠の愛」を表すとされています。
なので、意味を知ったうえで、フユイチゴの緑と赤い実を代用として、蔓性を活かした鉢仕立てにするのはいかがでしょうか。
フユイチゴは、土を選ばず、日陰を好み、耐寒性と耐暑性に優れた植物と言われています。野生の自然の恵みを味わうという楽しみもできますよ。
まとめ
晩秋の11月~1月にかけて収穫できるフユイチゴは、野イチゴの一種です。最近、あまり見かけない珍しいものとなっているのようです。山歩きをされる時は、是非注意して見てください。フユイチゴに出会えるかもしれません。フユイチゴは、酸味が強く、ジャムにしても大人が好む甘酸っぱいものに仕上がります。処理に少々時間と手間がかかりますが、フユイチゴを見つけたら是非試してみてください。