日本のユリの特産種は、世界の園芸品種のもとに!

百合の色々 球根花

ユリは、ユリ科ユリ族の球根植物です。北半球の亜熱帯~亜寒帯にかけて、96種が自生しているそうです。日本にはこのうちの16種が分布しています。その半数は日本の特産種だと聞きます。日本産のユリは、野生のままでも非常に美しく、特に観賞価値の高いものが多いといわれています。この日本のユリがヨーロッパに渡り、改良されて多くの園芸品種が作り出されてきました。今、世界中で楽しまれているユリには、日本のユリの血が流れているわけで、凄いと思いませんか? 日本のユリの特産種について調べたのでお知らせします。また、古くから日本では、食用としても扱われてきていますが、オニユリの根が食用になっていたんですね。そんなことも考えて、ユリをお庭で育てるのも楽しいかもしれません。ユリの植え付けと管理方法はこちらからご覧ください。

日本の特産種のユリは?

1《 テッポウユリ(鉄砲百合) 》 

学名はロンギフロールム、「長い花」の意味です。和名の鉄砲というの名は、この花の形が古式ラッパ銃に似ていることからつけられました。沖縄、奄美諸島に自生しています。開花期は沖縄では3~5月、我家では6月頃、純白で筒状の花を咲かせます。茎は直立し、草丈は60~80㎝、日本では江戸時代から栽培されているそうです。ヨーロッパに紹介されると一躍注目を浴びて、イースター・リリー、チャイルド・リリーと呼ばれて、キリスト教の行事に広く使われるようになりました。なので、日本から大量の球根が輸出されたわけです。

2《 ササユリ(笹百合) 》

学名に、ヤポニウム。代表的な日本産のユリです。和名のササユリは、葉が笹の葉に似ているからきています。本州中部以西、四国、九州の一部に自生しています。開花期は6月~7月上旬、淡い桃色の直径10~14㎝の短筒状の花を1本の茎に2~3輪、横からやや下向きに咲かせます。ほのかな香りが素晴らしいです。生家では、田植え時期にこの花が咲き、父がよく切ってきていました。思えば、父の好きな花でもあります。草丈は約1m、非常に清楚なユリですが、栽培が非常に難しいです。何度か挑戦しましたが、1回は咲くけれど、なぜか消えていってしまいます。

3《 オトメユリ(乙女百合) 》

学名は、ルベルム「赤色の」の意味です。日本特産のユリで、福島、山形、新潟県の高原地帯などに自生しています。ササユリが北に分布域を広げていったときに積雪地帯で独自の進化を遂げたものと言われています。開花は5月上旬、直径6~9㎝の桃色の短筒状の花を横向きに咲かせます。草丈は50~60㎝、かわいらしいお花です。

4《 ウケユリ(受百合) 》

奄美大島本島、請島などの限られた地域だけに自生していた幻のユリです。7月上旬頃純白で、直径16㎝くらいの漏斗状の上品な花を横向きに咲かせます。強い芳香があり、草丈は50~60㎝。栽培は難しいといわれています。

5《 タモトユリ (袂百合) 》

鹿児島県吐噶喇列島口之島だけに自生しているそうです。断崖に生育しており球根を採取するときに袂に入れて持ち帰ったところから、この名前がついたそうです。開花は7月中~下旬、直径15㎝ほどの純白の漏斗状の花を上向きに咲かせます。強い芳香があります。

6《 ヤマユリ(山百合) 》

学名にアウラツムは「黄金色の」の意味です。東北~関西地方に分布する日本特産のユリで、開花は6月中旬~7月、直径20~26㎝の大型の漏斗状の花を横向きに咲かせます。花色は、白色で黄色の条と赤褐色の斑点がはいります。1本の茎から数輪~10数輪の花を咲かせます。強い香りがあります。草丈は1~2m、栽培はむずかいいです。

7《  サクユリ(作百合) 》

別名、為朝百合。伊豆七島の大島から青ヶ島に自生する日本特産のユリです。ヤマユリの変種とされています。別名のタメトモユリは、伊豆大島に流された鎮西八郎為朝にちなむものといわれています。七月に直径30㎝にもおよぶ大型の漏斗状の花を横向きに咲かせます。野生の単子葉植物では最大の花といわれます。花色は白色で、黄色い条がはいり、斑点は目立ちません。強い香りがあります。草丈1.5~2m。利島、御蔵島以外では自生状態の物はほとんど見られなくなったそうです。

8《 イワトユリ(岩戸百合) 》

学名のマクラツムは、「斑点のある」の意味です。別名はスカシユリ。本州の中・北部沿岸に自生し、海岸の岩場、砂地に生育しているそうです。開花期は、日本海沿岸の物は5月下旬~6月、太平洋沿岸のものは6月下旬~7月下旬です。赤橙色に赤褐色の斑点、直径13~14㎝の盃状の花を上向きに咲かせます。草丈は50~60㎝。1本の茎から5~6輪の花をつけます。花弁の基部が細くなっており、透けて見えることからスカシユリと呼ばれます。栽培しやすく、園芸品種にもあります。

その他、日本に自生しているユリ

 
  • エゾスカシユリ(蝦夷透百合)= サハリン、中国北部、シベリア、日本の北海道に自生しています。沿岸の砂地に自生し、開花は北海道で6月下旬~7月上旬、橙色で紫褐色の斑点が入り、直径9~10㎝の花を上向きに咲かせます。草丈60~90㎝、1本の茎に3~4輪の花をつけます。蕾に細かい毛が生えるのが特徴。
  • ヒメユリ(姫百合)= 中国の中北部~アムール地方、朝鮮半島、日本に自生しています。名前の通りかわいらしい花で、直径4.5~7㎝、星形で朱橙色の花を上向きに咲かせます。自生している地域で変異があり、花色も赤・黄色などもあり、花弁に黒い斑点が入るものもあります。草丈50~100㎝、開花は6月頃。
  • カノコユリ(鹿ノ子百合)= 学名スペキオースムは、「美しい」の意味です。日本、中国、台湾に自生しています。花弁の内側に鹿の子絞り状の紅色の斑点があります。開花は7月中旬~8月中旬、桃色から濃紅色で花弁の縁が白色になる覆輪の花を咲かせます。直径8~10㎝、花弁が反転する球形の形。草丈は50~150㎝、1球で10~20輪の花を咲かせます。この百合をヨーロッパに持ち帰り、初めて咲かせたのはシーボルトで、明治になるとこのカノコユリはテッポウユリと共に重要な輸出品目の1つだったそうです。
  • クルマユリ(車百合)= 中国中部~シベリア沿海州、日本に分布する寒地性のユリです。和名のクルマユリは、葉が輪状につくことにちなみます。開花は7月、直径4~5㎝の朱赤色の花を下向きに咲かせます。草丈は70~100㎝。
  • オニユリ(鬼百合)= 中国中・北部~シベリア沿海州、日本全国に分布しています。花期は7月下旬、黒褐色の斑点が入った橙赤色の直径10㎝ほどの花を下向きに多数咲かせます。草丈は、80~180㎝。観賞だけでなく球根は食用にします。
  • コオニユリ(小鬼百合)= 鬼百合を小型で繊細な感じにしたユリです。中国北部~シベリア沿海州、日本全国に分布しています。開花は7月下旬~8月中旬、直径6~8㎝の橙赤色の花を下向きに多数咲かせます。観賞よりは食用にするために栽培されることが多いようです。
  • スゲユリ(菅百合) 日本の九州・沖縄、台湾、朝鮮半島、中国の中~北部に自生しています。7月下旬~8月下旬に朱赤色から黄色の直径3~4㎝の小型の花を下向きに咲かせます。
  • タカサゴユリ(高砂百合) 台湾原産の百合、1924年に切り花用として持ち込まれたものです。北海道を除き広く日本国内に分布しています。テッポウユリと似ていますが、花の外側に赤紫い筋が入るので見分けがつきます。茎の上部に葉がさ15㎝、直径13㎝ほどのラッパ上の花を横向きに咲かせます。葉は細めで密に生えます。テッポウユリと交雑して、シンテッポウユリが形成されています。開花は7~9月、草丈は約1.5m。

園芸品種、9つの分類

ユリの花は、野生のままでも美しいものが多いのですが、多くの園芸品種も作られています。どのような原種がもとになっているかで、英国王立園芸協会によると9つに分類されています。

1.アジアンティック・ハイブリッド

イワトユリ、エゾスカシユリ、ヒメユリ、オニユリなど、主にアジア原産のカロチノイド色素を持つ橙色系の花を咲かせるユリを交雑して作られた園芸品種群です。スカシユリと呼ばれることもあります。現在は、黄色・ピンク・赤色・白色など、いろいろな花色の品種があります。草丈はあまり高くなく、花は上向きに咲き、香りはしません

2.マルタゴン・ハイブリッド = マルタゴン・リリー、タケシマユリなどの交雑によって作られました。花弁が反り返り、球状になる小型の花を咲かせます。

3.マドンナ・リリー・ハイブリッド = マドンナ・リリーとマルタゴン・リリー以外のヨーロッパ原産のユリに由来するもの。

4.アメリカン・ハイブリッド = アメリカ原産のユリに由来するもの

5.ロンギフローラム・ハイブリッド

テッポウユリとタカサゴユリ及びその近縁種による交雑種です。多くは細なぎ筒状の花を横向きに咲かせ、香りがあります。日本では、新テッポウユリが多く栽培されています。

6.トランペット・ハイブリッド 

中国原産のリーガル・リリーとその近縁の筒状の花を咲かせるユリ、およびキカナコユリなどの交雑種。オーレリアン・ハイブリッドが代表的で、筒状の花弁か星形の花弁の反り返った花弁を咲かせます。丈夫で栽培しやすいので日本でも庭上にされています。

7.オリエンタル・ハイブリッド

ヤマユリ、ササユリ、カノコユリなどの日本に自生しているユリを中心に交雑されて作られた品種群です。強い香りを持ち、大輪の漏斗状の花や筒状の花を咲かせます。花色は、白・ピンク・紅色など様々。カサブランカなどの人気の高い品種が多く含まれます。

8.その他の交雑品種群

9.野生種や亜種や変種

日本で、現在、人気があり栽培されているのは、1のアジアンティック・ハイブリッド、5のロンギフローラム・ハイブリッド、6のトランペット・ハイブリッド、7のオリエンタル・ハイブリッドです。カサブランカは花も大きく、外国原産のものかと思っていましたが、日本のユリが交雑されたものだったんですね。これにはビックリでした。

《 商品紹介 》

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まとめ

ユリは日本が誇る世界の花といっても良いかもしれませんね。暮らしを豊かにする植物として、お庭にいかがでしょうか? 庭植えのユリは、適地であれば数年は植えっ放しでお花を楽しむこともできます。ユリの植え付けと管理方法についてはこちらをご覧ください。

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