秋植え球根は地植え、鉢植えどちらでも可能です。球根の中に、葉芽や花芽などの器官と開花までの養分を貯蔵しているので、秋植え球根は、土が乾燥しすぎないようにすれば、失敗なく球根ガーデンを楽しむことができます。球根の選び方・植え付け方法・花後の管理についてご紹介します。これで、わくわくしながら春を楽しめますよ。
球根に種類はあるの? 購入するときの注意点は?
球根は、宿根草の仲間で、地下器官の一部が肥大するので、翌年の生育に必要な養分を貯蔵する植物の総称です。球根の分類は、肥大器官の特徴によって4種類に分かれます。
- 【鱗片】球状の葉の一部分が肥大したもの、チュウリップ・ヒヤシンス・スイセンなど
- 【根茎】地下茎が肥大したもの、カンナ・ジャーマッマイリスなど
- 【球茎、鬼茎】茎の一番下の部分が肥大したもの、クロッカス・グラジオラス・シクラメンなど
- 【鬼根】根が肥大したもの、ダリア・アネモネなど。
また、植える時期でも分類できます。
- 【秋植え球根】夏に休眠し、秋から春にかけて生育し、開花するもの
- 【春植え球根】冬に休眠し、春から夏にかけて生育し、開花するもの
- 【そのほか】夏には休眠するが、秋になると急速に生育し冬にかけて開花する、半耐寒性のもの。
大きく立派な花を咲かせるためには、大きな球根を求める方が良いです。
形が扁平で小さな球根は、花が咲かないこともあります。ですが、庭で密集させて植えたい場合は、やや小さめな物であっても集合美を活かせば見劣りしません。値段は大きい方が高くなってきますから、目的を考えて無駄なく購入してください。園芸店では大・中・小とランク付けされたものもあります。
もう1つは、軽く球根を握ってみることです。良い球根は締まった感じがして、重く充実していますが、良くない球根はふかふかした感じです。また、カビがあったり、傷があるものは避けます。植え付け後、土の中で腐敗する可能性があるからです。
植え付け時期と場所は?
秋植え球根の植え付け時期は、9月下旬~11月です。
日当たりの良い場所が原則です。日照不足だと徒長して茎ばかり伸び、良い花が咲きません。最低でも半日陰以上の場所へ植えます。
植木鉢の場合は、そういった場所へ移動します。6月以降、保管は水はけのよい場所で、夏は風通し良く涼しい場所が良いです。
失敗しない植え付け方法は?
地植え
- 腐葉土を1㎡あたり3握りまき、元肥として緩効性化成肥料も1㎡あたり100gほど施して、よく耕します。深さは、植え付けに必要な深さよりさらに10㎝以上深く耕します。
- 植える間隔は、球根3個分あけるのが基本です。密集させて咲かせたい場合は、1個分あけるくらいでも良いです。
- 球根3個分の深さの穴を掘ります。割りばしなどに印をつけておくと便利です。
- 決めた植え位置に、球根を入れます。小球根を植える時は、ネットを土に埋め込み、その中に球根を植えこむと掘り出すときにばらつかず便利です。
- 掘り出した土を周りから寄せ、穴を埋めます。隙間がないように上から手で軽く押さえます。
- 全ての作業が終わったら、全体にしっかり行き渡るように水やりをします。
鉢植え
球根を鉢植えする場合、用土の量が限られることと根の生育スペースが少ないために、地植えとは多少植え方が違います。
- 鉢の大きさは、球根の大きさにもよります。スイセンのような大型球根であれば、7号鉢(直径21㎝)に3~4球、60㎝幅ののプランターであれば10~12球です。ムスカリなどの小型球根であれば、7号鉢に5~6球くらい植えるのが目安です。鉢が大きすぎると土の量が多くなり過湿になりやすく、球根が腐れる原因にもなります。鉢が深く大きい場合は、下部に発泡スチロールを砕いたものを入れると土の量の調整ができ、過湿の心配はなくなります。鉢の選び方については、こちらから。
- 基本用土は、赤玉土6:腐葉土3:バーミキュライト1 になりますが、市販の「花と野菜の培養土」で大丈夫です。元肥入りなのでそのまま使えて、園芸初心者にも使いやすい培養土です。
- 植え付けは、球根を浅く植えるのがポイントです。球根の下から根ができるだけ多く伸びるようにするためです。球根の頭がぎりぎり隠れるくらいが適当です。
- 全ての作業が終わったら、全体にしっかり水やりをします。
植え付け後の管理は?
置き場所
水やり
肥料
球根の花後の手入れとその後の管理はどうするの?
秋植え球根を翌年も咲かせたい場合は、花後に十分に肥培した重実した球根を育てる必要があります。
花が終わった後、いつまでもそのままにしておくと種ができ、養分が種にとられてしまいます。そうすると、株の生育が悪くなり、球根が肥大できません。
早めに花がら摘みをします。花だけを切るのでなく、花の下の方の子房ごと摘み取り、茎や葉の緑は切らずになるべく多く残しておきます。
また、花が咲き終わってから、葉先が黄変する頃(6月頃)まで、株の疲れをとるのが目的で即効性の1000倍液肥を10日に1回ほど与え、球根を肥大させます。
掘り上げは、スイセンの場合、葉が黄変したら、葉を切らずに球根を掘り上げます。土を軽く落とし、風通しの良い場所で陰干しし、乾いたら土を落とします。
葉が枯れたら、根と茎を切り落とし、ネットなどに入れて、日陰につるして乾かしながら保存します。
地植えの場合は、3~4年は掘り上げなくても大丈夫です。葉が黄変したら上部を切り取ります。鉢植えの場合は、鉢のまま風通しの良い日陰で保管します。
スイセン自体が丈夫なので、私はここまでで済ませていますが、必要があれば茎と葉を切り落とした段階で消毒(ペンレート水和剤を500倍に薄めた溶液に30~60分浸す)してください。消毒後は乾燥させて保管になります。
スイセン以外の秋植え球根を掘り上げる場合は、葉が黄変したら地上部を切り取ってから掘り上げ、軽く土をとってから水洗いして、日陰で乾燥保管します。
まとめ
秋植え球根花の育て方のポイントは、
- 9月下旬~11月には植え付けること。
- 鉢植えの場合は、球根の上部ぎりぎりくらいに浅く植える。
- 鉢植えの場合は、土が乾いたら、冬の間も忘れずに水やりをする。
- 花後は、葉・茎を残し、子房ごと切り取る。
- 葉が黄変したら、上部の茎・葉を切り取る。
秋植え球根の植え方、管理方法をお伝えしました。基本、手間いらず、水やりだけ気を付ければ楽しめる球根ガーデン。いかがです、早春の庭を彩ってみませんか?