赤く、栄養たっぷりのミニトマト。家庭菜園で作れればとっても家計にも優しく、食卓にも毎日のように新鮮な野菜を出すことができる。そんな思いで、ミニトマトの栽培を始めて5年になります。1年目に地植えで1本植えたのが始まりですが、最初の年は大成功。11月になってもまだ花が咲き、気温の関係で完熟にはなりませんでしたが、大量の青ミニトマトももったいなくて収穫しました。ピクルス・青トマトでジャムも作ったりもしたんですが、翌年は全くといっていいほど実がつかない。8月末ごろやっといくつかの実がついた程度で、2年目は終わりました。現在も、ミニトマトの家庭菜園を継続していますが、なぜ、こうも違うのか反省を込めて、調べてみましたので紹介します。ミニトマトに実がつかない原因、思い当たるところはないでしょうか。
ミニトマトの植え付けは、花が咲き始めてから!
露地栽培では、温暖地では4月中旬~5月中旬頃、寒冷地では5月~6月中旬頃が植え付けの時期になります。生育適温は昼間25~30℃、夜間10~20℃です。収穫は、6月~10月頃までといわれますが、温暖化の関係もあり、11月頃まで収穫できます。植え付けも1度植えた後、追加で時期をずらして植えることも可能です。
早い時期に果菜類の苗を手に入れたら、暖かい場所で植え付け適期まで養生します。トマトでは、蕾もついていない苗を肥えた土に植えると、その後の成長が旺盛となって葉茎が育ちすぎて、「木ぼけ」になってしまい、着果しにくくなることがあります。蕾が数個付き、1~2花が開花している頃に植え付けます。
我家で実がつかなかった年は、葉は緑で元気が良かったので、蕾を持っていない苗を購入し、購入後、2~3日内に植えた状態でした。
ミニトマトの場合は、ほかの苗とはちょっと違うんですね。花が咲き始めてから植えこむ、ここが大きなポイントになります。
株の状態はどうでしょうか?
肥料は効いていますか?
蕾を持ったミニトマトの苗を植えたにも関わらず、良い花がつかず受粉不良で花の根元から落ちたり、蕾のまま落ちてしまうことがあります。その場合は、肥料不足の可能性があります。ミニトマトの株の元気度をチェックしてください。元肥が多すぎると「木ぼけ」が心配されますが、肥料は追肥で調整をしていきます。果菜類は生育期間が長いので、肥料が不足すると、株が未熟になり、良い花がつかず、実がつきにくくなります。花が咲いても、花の状態が悪く受粉不良を起こすこともあります。
- 地植えの場合は、2週間前に1㎡あたり苦土石灰を100gを散布し、深く耕します。1週間前に化成肥料150g、溶リン60g、堆肥3㎏を施し、土を戻してよく混ざます。鉢・プランター栽培では市販の野菜の土の利用も可能です。
- 野菜が育つに従い、肥料の吸収が多くなるので、それに応じて追加の肥料が必要になります。1番花がピンポン玉の頃1株当たり化成肥料10g程度を株元か少し離した位置にまき、雨で流れてしまわないように土をかぶせます。基本的には、20日おきくらいに、追肥を行います。
日当たりはよいですか?
トマトの原産地は、日照量が多く、乾燥し、昼夜の気温差の大きいアンデス地方です。日当たりが悪いと花のつき方、受粉の状態が悪くなります。植木鉢であれば、日のよく当たる場所へ移動してみてください。
わき芽を放置していませんか?
ミニトマトは、葉の付け根に必ずわき芽ができます。花も咲き、実もなるので芽かきをするのはもったいない気がしますが、わか芽をそのままにしていると、風通しも悪くなり、病気を誘発しやすくなります。また、実も小さくなりがちです。さらに、葉と茎が伸びる成長の方に傾き、花が付きにくくなる、「木ぼけ」を引き起こすこともあります。芽かきも忘れないようにしましょう。
最初の花の枝に実がつきましたか?
ミニトマトは、自然に受粉できる野菜ですが、一番花が着果しないとその後の着果も難しくなるという性質があります。なので、最初が肝心です。花が咲いたら、念のために、花の枝を軽く揺すったり、指で軽くはじくようにしたり、綿棒で人口受粉をして、確実に着果をさせるようにしましょう。
我家は、植える時期も早く、花の成長も不良だったのでしょう。一番花は萼ごと落ちていました。人口受粉を途中から始めて、8月下旬にやっと着果がいくらか見られ始めました。実をならせる方向への修正も大変です。
追肥での肥料過多・不足はありませんか?
肥料が不足すると生育を悪くし、多すぎると根の周りに肥料濃度が高くなり根が傷んでしまいます。このような濃度障害は速効性の化成肥料で起きやすく、緩効性の化成肥料や有機質肥料では起こりにくいとされますが、過不足なく肥料を与えることが大切です。
《 肥料の過不足の判断の目安 》
- 緑濃く、縮んだように丸まった葉は、肥料の多い濃度障害のサイン
- 葉がY字になり、硬化してやや上を向いた状態は肥料不足のサイン
- 健康な茎の太さは1~1.2㎝、それよりも細く、色も緑が薄い場合は肥料不足
主茎の先端の状況を見て、追肥の調整をしていきます。写真は、実がつかなかった時の状況です。葉の色は悪く、葉はY字になっています。明らかに、肥料不足です。実がつかない原因です。
肥料の成分は、それぞれの目的があります
我家のミニトマトに実がならない原因は、どうも肥料不足が一番大きかったようです。元肥が十分でなかった上に、追肥も窒素の多い油粕を使っていましたから、開花や結実を促すリンが不足していたようです。化成肥料を使いだしたのも7月になってからでした。なので、実がなり始めたのも8月末頃からでした。
〈商品紹介〉
肥料の成分には、それぞれの目的があります。
肥料の5要素
肥料の成分で大切になってくるのは、窒素・リン酸・カリ・カルシウム・マグネシウムの5要素です。
- 窒素=「葉肥」といわれ、葉や茎の生育を促す。
- リン酸=「実肥」といわれ、開花や結実を促し、特に果菜類には必要
- カリ=「根肥」といわれ、根の成長を促し、病害虫への抵抗性を高める。
- カルシウム(石灰)=植物の組織を丈夫にし、酵素の働きを助けるほか、畑の酸度(PH)の中和や土の団粒化、土壌微生物の活性化に役立つ。
- マグネシウム(苦土)=葉緑素の成分なので不足すると葉の黄変が起こります。
また、微量要素の鉄・マンガンなどが不足すると、生育に障害が出ることがありますが、堆肥は微量要素を含むので、元肥に使用すると良いです。
有機肥料の使い方
《 大量に施し過ぎないように 》
有機物は、微生物に分解されてから野菜に吸収されるので、肥料の効き目は緩やかです。大量に施すと、アンモニアが発生するので発芽障害や根の傷みをおこすことがあります。
《 有機肥料を組み合わせてつかう 》
3要素(窒素・リン・カリ)がバランスの良い有機質肥料はないので、それぞれの特徴を生かしたブレンドします。窒素の多い油粕3とリン酸の多い骨粉2、そして草木灰2 の比率で混合すると良いといわれています。
- 魚粕=窒素とリン酸が多く、肥料の流亡が少なく肥料効果が高い
- 米糠=ビタミンやミネラルに富み、微生物の働きを促進する
- 油粕=菜種や大豆などの種子などを絞った粕で、窒素肥料の代表格
- ボカシ肥=米糠や籾殻などの有機質肥料を混ぜて発酵させたもの
まとめ
今年は、葉も緑濃く、花も着実に着果しています。あとはできるだけ長く実が楽しめるように追肥を注意しながらやっていくことになります。ハーブと一緒に植えると虫の被害が少ないということでバジルと一緒に栽培中です。トマトとバジルはお料理だけでなく、育てる上でも相性ピッタリです。栄養タップリのミニトマト、家庭菜園での新鮮な野菜を食卓にいかがですか?